全世界を覆うコロナ禍で、日本でもワクチン接種が本格的に開始しました。越谷では越谷歯科医師会は、医師会に協力してワクチン接種の手伝いをしています。私もその一人として協力しています。売名行為になるのか悩みましたが、ブログで書くことにしました。
全国で何人の方がワクチン接種にたずさわっているのか分かりませんが、歯科医師が協力しているのはそれ程多くないのでしょうか。ところが、越谷歯科医師会ではかなりの先生が協力参加しております。まずは越谷歯科医師会会長平井先生の言葉をお借りしますが、「医療従事者として優先的に接種してもらって、これで何もしないわけにはいかないだろう。」人づてに聞いたので若干違うかもしれませんが、心動かされる言葉です。
私個人的にも何かをせねばとは思もっても、おそらく出来たかどうかわかりません。越谷歯科医師会が越谷市医師会に申し出ることで、越谷ではこれだけ多くの歯科医師の先生が協力できたのだと思います。しかも会長個人の意見でなく、理事会での承認もあるはずですから、越谷市歯科医師会の総意と言えます。
歯科医師によるワクチン接種をテレビでも放送されたことがあると思います。この法的解釈は令和3年4月26日厚生労働省から出ました。意外と最近の話です。(事務連絡令和3年4月26日「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射の歯科医師による実施について」より)
「解釈の一部抜粋です。」ワクチン接種のための筋肉内注射は歯科医行為ではなく、医行為である。医師法第17条に違反する。 (略) 感染拡大を防止し、住民の生命や健康を守るために迅速にワクチン接種を進める必要がある。公衆衛生上の観点からやむを得ないものとして、17条との違法性は阻却されえ得るものと考えられる。(阻却される:法律用語で違法性ではないという意味。) (略) 必要な医師や看護師等の確保が出来ないと判断した場合。地域の医師会等の関係者との合意の上で歯科医師会等に協力を要請する必要がある。(越谷市はここがスムーズに行えたのでしょう。) (略) 特設会場に限り、医師の適切な関与の元で行う必要がある。会場内に歯科医師も筋肉注射をしていることを掲示し、被接種者に知らせておく必要性がある。さらに事前に決められた内容の研修を受ける事。
・ワクチン薬の基礎知識、解剖学的基礎知識(腕周りの筋肉や骨、神経等について)、
・接種時の注意点(実技研修も実施すること)
・アナフィラキシーショックへの対応。
研修時間2時間程度。これに加えて、接種の実際の実技研修。
あまり資料や写真を載せるのはどうかと思いますが、研修会で撮影した写真を1枚載せたいと思います。刺入点を示したガイドです。これと実際注射を打てる腕の模型もあります。腕の模型は針の刺す位置や深さが違うと赤ランプが、正しければグリーンのランプが点灯します。意外とリアルに出来ていました。

研修内容で知られているようで意外と正確に知られていない内容をご紹介します。
それは「ワクチンの有効率」についてです。
薬の効果を確かめるさい。実際の人に打ってワクチンの効果を確かめる事を治験と言います。この時、ワクチンと偽薬(全くワクチンを含まない生理食塩水等の無害な薬)の2種類を使います。協力してくれる人には、2種類のどちらを打たれたかは伝えられません。打ち手もどちらか知らされていません。その後、協力者の経過を追っていきます。
ワクチンを打った人(黒丸が発病者、白丸が感染しなかった人)
12345678910
●○○○○○○○○○
偽薬の人
●●●●●○○○○○
ここでワクチンの有効率ですが、偽薬の人は5名発病しています。しかし、ワクチンを打った人は1人で済みました。もし、偽薬の人がすべてワクチンを打っていたら発病したのは1人で済んでいたわけですから、4名の方が感染しなかったと考えます。5名中4名が感染を抑えられた事になります。これがワクチンの有効率です。計算してみますと、
5人中4名 ?(4÷5)×100=80% ?有効率80%となります。
日本で打たれるワクチンは今の所以下の3つであり、かなり高い有効率ではありますが、100%ではありません。ですから注意すべきは、ワクチンを打った人でもコロナに感染するという事です。(上図のワクチンを打った人に●があるなら100%にはなりません。)
アメリカのファイザーワクチンの有効率は95%
アメリカのモデルナワクチンの有効率は94.5%
イギリスのアストラゼネカの有効率は70.4%
参考にインフルエンザの有効率は60%とあります。(厚生労働省「令和2年度インフルエンザQ&A」より)この資料の元が分からないのですが、令和2年度の所にあるので、それ程古い資料ではないでしょう。どちらにしても、コロナウィルスワクチンの有効率は高い事が分かります。
ファイザーとモデルナのワクチンはmRNAワクチンで、アストラゼネカはベクターワクチンです。この違いはかなり難しいので触れませんが、どちらも全く新しい技術で作られました。おかげで通常の開発期間に比べ、驚異的と言えるほどの短期間でワクチンを作ることが出来ました。さらに皮肉な話ですが、開発国アメリカ・イギリスで、コロナが恐ろしいまでの猛威を振るったのも背景にあるのでしょう。
最後に、歯科医師である私も研修を受けてきました。当然実技練習もしてきました。日本歯科医師会もHP内で勉強できるよう準備もしてくれました。その映像学習も見て勉強しました。会場で歯科医師が接種を担当していても、もしこれを読んでくれた方が打たれる側で席についても、決して心配しないでください。1日でも早く全員がワクチンを打ち終える日が来るまで、微力ながら頑張りたいと思います。