母子健康手帳の歴史


母子健康手帳の歴史
母親教室に行ってきたことを書きましたが、それに絡めて母子健康手帳について触れたいと思います。この母子健康手帳は調べてみると実はすごく奥が深く、歴史もあり、輝かしい進歩も遂げています。少し長いですが、是非最後までお読みください。
母子健康手帳の始まりは昭和17年7月13日にさかのぼります。実に79年前です。最初は「妊産婦手帳」と言う名前でした。大東亜戦争中(正式名称と思いますが、物議を醸すのでしょうか。)の話です。手帳の内容は出産の状況、妊産婦・出産児の健康状態記載欄等であり、手帳の持参により、米、出産用脱脂綿、腹帯用さらし、砂糖などの配給を受けることができたそうです。
プライベートな内容に国が関与したら、今のご時世だとプライバシー侵害と言われるかもしれません。ですが結果的に見ると、妊娠・出産そして保育を一連の流れとしてとらえる事で、子どもの成長を管理できるシステムを作ることが出来ました。この妊婦手帳の誕生は、実は世界でも初の試みであり、世界的に見ても画期的なシステムなのです。
 その後、昭和23年5月28日から、「母子手帳」と名前を改め内容も変わりました。まず、出産の状況、産後の母の状態、乳児の健康状態は引き継かれています。そこに、小学校就学前までの健康状態、乳幼児の発育平均値のグラフ等 (乳幼児期までの記録も行うようになった。)が加わり内容が充実され期間も小学校入学まで伸びています。
 昭和40年には「母子健康手帳」と名前を改め、健康という言葉が入りました。昭和51年の改正ではお母さんが書き込める欄を大幅に増やし、育児記録としての役目も果たすようになります。お母さんが付ける育児記録で、発育障害などの子供の病気が早期発見出来るようになりました。
そして昭和62年の改正では、歯科保健の記録欄が増えました。出来てから45年目にしてやっと歯科が係わってきました。妊産婦さんのお口の中が赤ちゃんに影響することは色々と分かってきましたが、母子健康手帳に歯科が加わったのがこんな最近の事であることは、歯科医師として今回ブログを書くまで、正直知りませんでした。言い訳としまして、翌年の昭和63年に歯科医師になったので、歯科に携わったときから母子健康手帳に記入する機会はありましたが、歴史までは知りませんでした。妊産婦さんに歯科が大事なことは別の機会で取り上げたいと思います。
さらに進んで、平成3年には国の交付から市町村が交付するようになり、自治体独自の取り組みも加える事が出来るようになりました。平成14年は今までの手帳では子供の成長曲線はただの線で表示していました。それが逆に「うちの子供は成長が遅いのかしら」と不安になるお母さんが増えたようで、成長曲線に幅を持たせるようにしました。幼児虐待や子育て支援の内容、働く女性のための支援、それに父親の育児参加を促進する記載が載りました。父親の育児参加と言えば、イクメンという言葉を浮かぶと思いますが、この「イクメン」の元は、厚生労働省のイクメンプロジェクトが始まりです。時期は平成22年なので母子健康手帳の方が先駆けとなります。平成20年に離乳の時期の概念や言葉の説明などの修正を行い、今に至ります。 
歴史の次は、母子健康手帳はどのような効果をあげたのでしょうか。医学の進歩や栄養状態の改善など理由は多岐にわたりますので、すべてが手帳の効果ではありません。ですが、日本においての乳幼児死亡率は1950年(昭和25年)60.1人(乳幼児死亡率:出生時から満1歳に達する日までに死亡する確率。出生1,000人あたりの死亡数で表す。)が2004年(平成16年)2.8人と激減しました。この数字がすごいのは実感できないと思います。年代が違うので比較としてはおかしいのですが、ユニセフの発表で2016年乳幼児死亡率は世界平均で31です。これで日本の乳幼児死亡率がいかに優れた数字なのか分かると思います。
そして母子健康手帳は、今では世界に広がりつつあります。独立行政法人国際協力機構JICAの活動の一つにとして行っています。それと特定非営利活動法人NGOのHANDS(ハンズ)も活躍しています。(ハンズは母子健康手帳を普及支援する事を中心にしている組織のようです。)
今母子健康手帳はどれくらい世界に広がっていると思いますか、JICAさんのHPには以下のように載っています。
・約50カ国・地域で使用実績(国の一部のみ・一定期間のみも含む)参照下の地図(ハンズHPよりお借りしました)
・世界年間出生数1.4億人(ユニセフ世界こども白書2019より)、そして母子健康手帳は年間約2000万冊(2019JICA推計)が母親の手に届いています。計算上は7人に1人の母親の手に手帳が届いていることになります。日本が行っている事業であり、これだけ世界に広がっているのに、日本人にあまり知られていないのが不思議なくらいです。
 最後に2018年9月13日世界保健機関(WHO)が「母子の健康に関わる家庭用記録に関するガイドライン」を発表しました。この策定には大きくJICAの働きがあったようです。
ガイドラインでは、JICAが20年以上にわたりインドネシアで協力してきた母子手帳の普及と効果の研究結果が、その活用効果を科学的に証明する事例のひとつとして採用されています。今後、このガイドラインによって、母子の健康を改善・維持するために母子手帳が多くの国で導入されることが期待されます。日本で生まれた母子健康手帳が日本人の手で世界中に広がり、世界中のお母さんが言葉こそ違え、手に取って読むのは、もうそう遠くない未来かもしれません。早くその日が来るのを祈るばかりです。

母親教室に行ってきました

 母親学級に行ってきました。コロナ禍で今年の出生率は過去最少との話ですが、24名の妊婦さんの前で歯科講演をしてきました。母親教室の講師を引き受けるきっかけは、私は少し変わっているかもしれません。私はなかなか子宝に恵まれなかったので、妊婦さんからご利益を分けていただこうと、はじめたのがきっかけでした。そして記念すべき第1回の母親教室の直前の2月14日に、奥さんから妊娠したと聞かされ、母親教室で皆さんから拍手を頂いたのを覚えています。それから数えて今年は19回目ですが、今年は今までとは全く変わってしまった現実を見てきました。
 いつもはマイクが無くでも聞こえるような部屋で行っていましたが、今年は大会議室それも100人以上軽く入る大きな部屋で、お互いソーシャルディスタンスで間を開けて座り、当然全員マスク着用です。私もマスク越しにマイクで説明してきました。
 会場は保健センターなのですが、保健所と隣接しています。いつもなら保健所から保健センターに通り抜けて行きます。しかしこの日は、施設の間にはドライブスルー型のコロナウイルスPCR検査所があり、実際稼働しているので通行止めでした。2階の渡り廊下を通り、移動したのですが、そこから通りを挟んで向こう側の市立病院が見えるのですが、そこには大きな野外にテントがありました。おそらくそこもPCR検査を行う施設なのでしょう。身近に迫っているコロナ禍を肌で感じてきました。そこれから冬が来て感染者がこれ以上増加しない事を祈るばかりです。

次亜塩素酸水



コロナ感染防止対策として、山本歯科医院にデミソールがきました。(写真参照)これは次亜塩素酸水生成器です。コロナ禍でアルコール消毒薬の確保が大変でしたが、それを補助するために購入しました。これは水と食塩から次亜塩素酸を作るものです。
独立行政法人 製品評価技術基盤機構が令和2年6月26日に発表した。コロナウイルスに対する消毒法では、次亜塩素酸については以下のようでした。(HPから抜粋)

次亜塩素酸水は、以下のものを有効と判断しました。
  ・次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上
  ・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは有効塩素濃度100ppm以上
  なお、今回の検証結果を踏まえると、
  次亜塩素酸水の利用に当たっては以下の注意が必要であることが確認されました。
  ①汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去すること
  ②対象物に対して十分な量を使用すること

それではこのデミソールの能力ですが、約5分間で600ccの次亜塩素酸水を生成します。そしてその濃度は80ppmで、コロナの消毒としては有効です。活用する所はドアノブやチェアー(患者様が座る動くイスの事)など多岐にわたります。短時間で作れるので、今までアルコールが無くならないかと心配していましたが、代わるものもあると安心します。

新しい空気清浄機



コロナ感染防止対策として、山本歯科医院の待合室に新しい空気清浄機が来ました。導入したのは、カルテックの光触媒技術による空気清浄機です。これはコロナウイルス感染力抑制効果が確認できたそうです。(プレスリリース2020.10.15)コロナウイルスやマイクロ飛沫の除去に期待大です。
さっそく取り付けてみました。壁掛け式で床置き式に比べかなり軽くて薄いです。取り付けも簡単で、30分程度の作業時間でした。動かすとあまりの静かで大丈夫かと思いきや、扉を開け閉めしたら何か流れ込んできたのか、赤色が点灯してさっそく機能していました。待合室は患者さんの出入りがありますので、扉の開け閉めでも動き出すのはコロナ感染防止対策として安心できます。